ベントスクラウドロック導入水槽の状況-1

生物ろ過について
ベントスクラウドロックには様々な生物が潜んでいる。目視では気づかなかったがアメフラシも紛れていた。生物叢は非常に豊富で水質浄化効果も高い。

 12月下旬にデッドロックを再生するブロジェクト概要について解説した。今回は水槽導入後の結果や考察と今後の展開について説明します。

改めてベントスクラウドロックについて

  • 前回は、デッドロックの再生方法として ①赤貝網袋式 沖合再生 ②牡蠣ロープ式 沖合再生を解説したが・・共に生物叢(海藻、イガイ等に活着棲息するプランクトンを含む豊富な生物群集)をデッドロツクを基台として活着、棲息させたものであり、石灰藻を活着させた所謂市販されているライブロックとは異なり豊富な生物叢を活着させたものです。
    特に、基台がサンゴ等が枯れたもので多孔質であるため海中では活着が容易で生物叢も豊富であった。
    これらについては 参考書籍もあるので一読を勧めたい。

    ※ 参考書籍 「ベントスの多様性に学ぶ 海岸動物の生態学入門」 日本ベントス学会編 海文堂
    参考投稿 ⇒ 盛夏こそベントスクラウドを活用した夏バテ防止策(生物ろ過強化策)
  • 上述の投稿でも触れたが、漁港などの岸壁に形成されるベントスクラウドでは活着、棲息されている生物群集は種類が少なく(海綿やベントスに生息するプランクトン、ワーム類程度)ベントス部のみを切り取って採集する事となり、水槽導入ではレイアウト的にも制約が大きく、今回の様なデッドロックで活着、畜養、再生させたものの方が利点が高い。
  • 海中での再生では、季節変動に大きく左右され・・・今回海藻の最盛期5~6月に海中設置したため海藻類胞子の付きや生育が悪くスラッジが全面に付いたためか多毛類の棲管が多数見られた。
  • ベントスクラウドの形成は・・・海中のスラッジ付着、蓄積⇒海藻類、フジツボ等の活着⇒プランクトン、ベントス類の棲息⇒更なるスラッジ蓄積と生物コロニーを多層形成しエビ、カニ、魚類等の捕食生物叢が棲息して完結となる。 ⇒ ※ この状態で硝化、脱窒生物ろ過作用が高まる

導入した水槽の状況

  • 今回、畜養、再生したベントスクラウドロックは6月海中設置、12月回収としたため ①盛夏を経たためスラッジ蓄積が多く多毛類が着きすぎたため棲管からの足糸だらけとなった ②海藻胞子の浮遊時期を逃したせいか紅藻等水槽ベストな海藻の付きも無く、今夏沖合でも海水温28~29℃まで上昇した関係か海藻類は全て枯死していた。 ③スラッジ蓄積が多かったせいか ホヤ、ケヤリ虫、アメフラシ、ウミウシやイガイ、フジツボ、ゴカイ類と相当豊富な生物種が認められた。但し①で述べた様にゴカイ類が多いせいか足糸まみれで景観には課題が残る。これらはトレードオフの関係なのでバランスの問題と言える。
    これらの事から 海中再生、畜養については海中投入時期の選択と期間は重要となる。 
  • 当該、ベントスクラウドロックを水槽に導入した結果を以下のギャラリーに示します。
    結果としては 豊富な生物種が認められると共に水槽内がキラキラと煌めく水質となると共にガラス面にコペポーダ等プランクトンが発生し非常に良い結果となつた。
  • デメリットとしては、ベントスクラウド全般の課題であるが豊富な生物叢=発生する有機物も多く底砂へのスラッジ蓄積が多く清掃間隔は短くなる。
  •  プランクトン関係は以下の書籍を参考にした。
     ※ 「日本の海産 プランクトン図鑑」 岩国市ミクロ生物館監修 共立出版

全体の考察と今後の展開

 ① 赤貝網袋方式では、先ずフジツボ、海藻の付着、活着⇒袋が目詰まり袋内にスラッジが蓄積⇒多毛類等ワームが活着、棲息⇒ホヤ、ケヤリ等がスラッジ層に活着して行く。 全体としてベントスを中心として良質なクラウド(生物群集)が形成される。
 海藻類(紅藻類)を中心にするためには 藻類胞子活着を考慮すると厳寒期に海中投入して芽吹く4~5月には回収するのがベストと考える ⇒ 次回報告予定(12月投入済なので春先に報告)

② 袋内で海中再生、畜養するのであれば・・・目開きを更に大きくしたもので包み潮通しの確保と程よいスラッジ蓄積性を確保するものを試験する必要がある。 ⇒ 次回報告予定(春先に入れ替え予定)

③ 今後は ライブロック⇒ すべて再生、畜養 自家ベントスクラウドロックに変更して自家採取のみで無加温小型水槽でタイドプールを再現する。

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