早春の水槽作り(水槽内のチェックと採取すべき生物叢について)
- 小型水槽でタイドプールを再現するための進め方(おさらい)
①昨年の4月から ・水槽の3要素としてライブサンド、天然海水、ライブロックそしてこれらに自家採取した生物叢(海藻、フジツボ、イガイや盛夏に使用するベントスクラウド)に生息しているベントス、プランクトン、ネクトンやそれらに付随するバクテリア、細菌を用いて水槽内に発生した有機物(デトリタス)を⇒分解、硝化⇒浄化 する「微生物ループ、サイクル」を構築してライブサンド等で訓養(飼いならし育成、定着)していく事により自分の水槽環境(照明や水温変動等)に合致した「微生物ループ」を作り上げる事が土台となります。
②水槽システムとしては、小型水槽(40L程度)無加温が前提となるので・・・ろ過システムは「底面フィルター+外部フィルター連結ハイブリッドろ過システムとし、底砂(ライブサンド)+ライブロック+ろ材量/水槽容量を40%↑↑とする事により水槽全体の細菌、バクテリア定着層を極大化して浄化能力をアップさせる。
これらの詳細については、以下の過去ブログを参照して下さい。
※ 小型水槽で大切な3要素(タイドプールまであと一歩)
※ 小型水槽に最適な「ろ過システムとメンテ」
また、より理解を深めるためには以下の本を一読する事をお勧めします。
※ 「海岸動物の生態学入門」 日本ベントス学会編 海文堂 - 訓養されたライブサンドや豊富な生物叢に支えられた小型水槽とは?
①良くこなれた水槽は、何といっても「キラキラ」した煌めくような水質となります。また、水槽ガラス面に苔類が薄く付くようになるとカイアシ類(copepoda)や各種幼生(larva)が湧くように見られます。粗目に敷いた底砂にフジツボや海藻類を導入するとヨコエビ、ワレカラ等(amphipoda)が棲息し出します。
②豊富な生物叢が生き生きと棲息し出すと理想的な水槽と言えます。これらの豊富な生物叢が水槽内に「微生物ループ、サイクル」を形成し消化バクテリア、細菌等により水質浄化サイクルを廻して定期換水程度で安定した水槽を維持出来る事となります。
※ 以下に水槽内に生息している生物叢を撮影しましたので参考にして下さい。3月初旬で水槽温度は14~18℃程度でした(この時期は小田和湾沖合で海水温14~16℃)海藻水槽では温度変化は必要となりますのでバクテリア、細菌の訓養は必須です。 - 水槽内が順調にされた事を確認してから、タイドプール再現に向けた採取となります。早春は前回ブログで解説した様に海藻も芽吹いておらず磯周りの採取は4月~5月以降からが良いでしょう(気温はまだまだ低く潮周りからも大潮、干潮がどうしても深夜が多くこの時期の入磯は控えた方が良いと言えます)この時期2月下旬~3月であれば沖合のストラクチャー周りであれば・・・漸く褐藻、緑藻が芽吹きだすので、沖合ストラクチャー周りを中心に採取します。
※ プランクトン類については以下の書籍を参照しています。
日本の海産 プランクトン図鑑 岩国市立ミクロ生物館監修 共立出版












早春の採取と水槽導入、養生
- 早春(2月下旬~3月)は前述したように沖合のストラクチャー周りの採取がメインとなります。(下記のギャラリーを参照)
- 採取出来る生物叢としては、緑藻、褐藻がメインであり3月中旬以降に漸く紅藻が芽吹き始まります。ベントス類は、フジツボ、イガイが3月頃より採取出来ますが潮流、海流の良く当たる箇所と傍に沈み根がある場所等がより海藻類の活着が良いと思います。この時期は採取場所のバラツキや風の強い日が多いので注意が必要です。早春採取は冬季に水槽内で訓養してきた浄化細菌、プランクトン類に新たな生物叢(海藻やフジツボ、イガイに付着しているプランクトン類とその根元に棲息しているワーム類が主となるベントス)を導入して賦活するのが目的です。水槽にタイドプールを作る事は自然に似せる、寄せる事が大変重要です。⇒ これが水槽内微生物ループの「養生」です。
- 具体的には採取した生物叢を水槽内に入れるだけです⇒簡単です。但し、これが出来るのは「無加温」「天然海水」「訓養ライブサンド、ロック」で水槽内に1年程度かけて微生物ループ(ろ過材で養殖したろ過細菌⇒ライブサンド、ロックに生息するプランクトン・・・これらが水槽内で水質浄化のサイクルを形成します)を作り出したからです。・・・言い換えると飼いならした自分だけの水槽を作って、漸く土台作りが終わり「タイドプール」の再現に向かいます。 これからが、海藻毎の性質、色彩やコシモガリモエビや美しいウミウシ等生体の性格に合わせたライブロックの配置やレイアウト等SEA-BONSAI本来の栽培に入って行きます。





タイドプールの再現~レイアウトについて(SEA-BONSAI-3)
- タイドプールの再現・・・これは、水槽内に海藻や生体(エビ、カニ類や少量の魚類)を配置するだけでは「再現」した事とはなりません。 あくまでも水槽内で生き生きと生物叢(海藻、プランクトン類)が生息し水槽内の「生物ループ、サイクル」が作動し煌めく様なキラキラとした海水でなけれはなりません。
- その為には・・・キラキラとした水槽水は当然として・・・先ず、水槽内で採取、養生した海藻等の生物叢の状態を確認しましょう。以下のギャラリーの様に水槽内にプランクトン、ベントス類がそこ各所に元気に動き回っているか?底砂に海藻周りにヨコエビが巣を作っていたり、ワームがライブロックをはい回っていたり自然を再現しているか?・・・より自然に活動しているのを確認しましよう。
ギャラリーの様に養生して元気に生息している状態である事が大切です。 - これらの良い状態から・・・今回は早春で海藻も少ないですが、よりナチュラルなレイアウトで「タイドプール」をイメージして再現した見ました。 下のギャラリーを参照して下さい。
- 今回は、海藻の種類も少なく、ただ配置しただけで活着もしていませんが・・・これから4~6月は海藻も繁茂し盛夏に向けてのハイシーズンとなります。次回からは具体的に海藻毎の配置(レイアウト)なども含めて解説していきます。









- 3月下旬採取した生物叢を水槽導入して養生中・・・このように元気にプランクトン、ベントス類が動き回る水槽では生物ループ、サイクルが回り水質浄化されて行きます。





- タイドプールをイメージしてレイアウトしてみました・・・どうしても早春は海藻も少なく、緑藻、褐藻がメインとなります。

