生物ろ過について(タイドプール再現の基礎知識)

生物ろ過について

①自然は良く出来ている

  • 小型水槽水槽で「海」を再現するのは大変難しいと言えます。それは水槽内で様々な排泄物(主にアンモニア等)が発生しますが私たちの様に別に下水道配管や下水処理場があるわけではありません。では、どのように海の中では処理されているのでしょうか?自然では発生したアンモニア等を好気性状態では好気性菌が亜硝酸や硝酸塩に硝化工程で変化させています。更に硝酸塩は嫌気性状態で嫌気性菌が窒素まで分解します。これらは、藻類などの養分として再使用されて自然サイクルの中で物質循環しているのです。⇒※これらは下水処理場の活性汚泥処理とほぼ同じサイクルです。
  • 自然ではエビやカニの幼生を含む浮遊性のプランクトン(カイアシ類など)、ゴカイ、フジツボ、海綿等の定性生物ベントス、魚等の遊泳生物のネクトン・・・これらが、ある時は生産者として、ある時は分解者として活動し水質を浄化して物質循環のサイクルを回しているのです。
  • 具体的には・・様々な生物層が付着したライブロック(造礁サンゴ由来の石灰岩で多孔質な構造のため、様々な生物層(微生物、付着生物等)が棲息しており表面は写真の様に赤~紫色の石灰藻が付いています。これらが、自然では重要な生物ろ過装置として機能しています。
  • 石灰藻の薄い皮膜の中で好気、嫌気性菌が硝化工程や脱窒工程を通して水質浄化を行っています

②小型水槽は、より一層自然に寄せる

  • 海水魚飼育では、どうしても大型水槽、オーバーフロー式、大容量サンプ、プロテインスキマーや強力な照明、水流、UV照射・・・そして水質改良剤の添加と敷居が高くなりがちです。
  • 現在主流のベルリン式にしても原理は変わらず過剰なタンパク質をプロテインスキマーで除去し大容量サンプやライブロックの石灰藻を強力な照明で活性化して水質浄化するというシステムとなっています(石サンゴや飼育魚によっては必須なシステムと言えます)
  • これも、一つのアプローチで否定はしませんが、小型水槽でタイドプールを再現しようとすると無理があります。生物層をより増やし活性化して「多生物層」による生物ろ過を主体としたろ過システムが小型水槽ではベターな選択ではないかと思います。

③小型水槽の具体的なシステム

  • より生物層が豊富な「天然海水」を使用する。⇒ ※プランクトン、微量元素など人工海水には無いベターな選択。
  • ろ過方式は、小型水槽の容積不足を補え、ベントスなどの生物ろ過が期待できる「底面ろ過方式」とする。⇒  ※ ライブサンドを7~8cm↑を敷く
  • ライブロックは生物層(海藻、イガイ、海綿、フジツボ等)を活着させた自家製ライブロックとし、より生物ろ過性を上げる ⇒ ※ 「海藻等活着ライブロック」を使用して濾過装置として活用する。
  • ライブロック、ライブサンドをより活性化するため、水流、酸素、照明を確実に実施する。
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