小型水槽の立ち上げは初夏がベスト-多彩なレイアウトで楽しむ

小型海水水槽
海藻、イガイ、フジツボ等をレイアウトするとタイドプールが再現できます

小型水槽でタイドプールを再現するには晩春から初夏が最適です。潮間帯の海藻は5月位から生えだして初夏には繁茂しプランクトンも豊富で多生物叢を形成しやすく水槽立ち上げには最適です。

初夏は海藻採取に最適

  • 小型水槽を生物ろ過強化で行う時のマストアイテムは海藻、イガイ、海綿等のベントス類です。これらをライブロックに活着させるだけで豊富なプランクトン、ベントスが確保できる上にイソスジエビ、ウミウシ等の水槽アイドルを導入出来るからです。
  • 海藻は、晩春から初夏にかけて潮間帯に繁茂します。冬季はほとんど生育していませんので採取は期待できません。この時期には気温も20℃~25℃ 海水温 20℃前後と少し冷たいですが採取しやすいと思います。
    ※ 夏場は、磯遊び、採取のハイシーズンですが意外とイソスジエビ等は水温が上昇すると深場、冷温帯に移動して潮間帯での採取は7月中旬以降は難しくなります。
  • 海藻は、緑藻、褐藻、紅藻と種類も豊富ですが水槽飼育に合っているのは紅藻です。水槽で色素が溶出したり葉が溶け出す事も無いので良いと思います。
  • 海藻の採取には・・・
    ①大潮の干潮時に潮間帯に入って採取する。
    採取、注意点を詳細に記載しているので参照してください ⇒
     海藻採取の注意点等  
      
       
     
    ②ストラクチャー周りに活着した海藻をイガイ、フジツボと合わせて採取する。
    ストラクチャー周りでは容易に採取できます。但し海藻の種類が少ないのとプランクトンはワレカラが主となります。褐藻が多く水槽内では色素が溶出しますので導入は控えた方が良いと思います。紅藻を探してください。

    ③プラントクンチェックをしてから採取する。小型水槽用の採取は・・・あくまで、水槽内の生物ろ過サイクルを強化するためだすから、ヨコエビ、ワレカラ等が豊富に付着している物を採取してください。
    ストラクチャー周りの画像です(ワレカラ、イガイ、フジツボが豊富に付着しています)⇒ 下の写真を参照
  • 海藻採取の注意点と運搬時に便利なエビクーラー
    ①この時期の海藻には様々なプランクトンなどがいて楽しみですが、海藻によっていは稚貝、クモヒトデ等水槽内に侵入すると排除が難しく多量に混入した場合は・・・水槽内の溶存酸素不足になり水槽がダウンしかねません。私は海中で海藻をプランクトンネットに入れて強く振りネット上のプラントクンを見て判断しています。
    ※ 特に稚貝は多量に入れると水槽内が必ず酸素不足になります。
    採取時に便利なプランクトンネット ⇒ 下の写真を参照

    ②海藻などはライブロックに活着させる必要がありますので、イガイ、フジツボ等は必ずエアレーションをしてください。エビクーラーに海藻のついたフジツボやプランクトンを入れ海水に満たしてエアーを入れて運搬してください。この時、エビクーラーの付属ストレーナー(網)は必ず外してください。この網に、ワレカラなどのプランクトンが強く付着して離れなくなります。水槽に入れることができなくなります。
    実際の採取と運搬写真です⇒ ※下の写真を参照

「沖合のストラクチャー」
沖合のストラクチャー周りには、海藻、イガイ、フジツボ等が活着しており採取には良い場所です。
特に、ワレカラやコノハミドリガイ等が多くタイドプール再現にはマストアイテムとなります。

「プランクトンネット」
プラントクン採取には必要なものになります。
私は、海藻を海中で強く振りネットにプランクトンが採取出来たか確かめながら行っています(プランクトンチェック)ハンデイタイプは潮間帯で海藻を探しながらランガンしていきますので必需品となっています。また枠も強いのでオーバーハングした岩を擦っていくとウミウシが取れます。

「採取した海藻、フジツボ、イガイ」
運搬には釣り用のエビクーラーを使用しています。「活かしエビ DAIWA製」
クーラーには底砂を僅かに敷いてその上に海藻等採取したものを入れエアレーションします。
海藻、フジツボの根元にはワーム類が必ず棲息しているので忘れずに採取します。
また、ストレクチャー周りはプランクトンもワレカラ等大型のプランクトンが多いので酸素消費も激しいので少なめに入れるようにしてください。

小型水槽は底面2基で始めよう

  • 小型水槽は底面フィルターが適しています。
    詳細は次を参照して組み上げてください ⇒  小型水槽の組み立て   底面ろ過水槽について
  • 30L~40L小型水槽(40~45cm水槽)のセッティングと注意点
    ※小型水槽では、底面フィルター×2基で十分対応出来ます。但し、導入生体が多い場合(プランクトンは思ったより生体としの量は多くなります)・・・導入初期はエアレーションを追加して様子を見て下さい)はエアレーションを実施する事が必要となります。
  • 少し手間もかかりますが、底面ろ過で小型水槽の楽しさ、テクニックを経験した後でステップアップするには・・・底面フィルターと外部フィルターを併用するハイブリッド生物ろ過システムが良いと考えます。

    興味のある方は・・・過去のブログを参照してみて下さい。⇒ 

    ※ 底面ろ過、外部ろ過併用ろ過システム

多彩なレイアウトと海藻で楽しむ小型水槽

  • ライブロックに海藻、イガイ、フジツボ等を配置して全体のレイアウトを楽しんでください。

    ライブロックに採取物を配置していきますが、①全体に水流が行き渡る事  ②光量が確保出来ている事 ③導入生体のバランスを取り、入れ過ぎない事・・・これらに注意すれば、それほど神経質になる必要はありません。
    全体のバランスが大切です。・・・多生物叢による「生物ろ過の強化」は水槽内の摂餌、生産=排泄-分解、消化-硝化、脱窒-のサイクルがスムーズに回転する事が大切です・・・言い換えると土台を支えるバクテリア類に見合う原生動物、エビ、カニ、魚と・・・生物ピラミッドが整ってるように導入、配置するという事です。

    点検しておくべき事
    全体の水流は・・・
    ワレカラ等は水流の中で流れて来る微生物や弱小プランクトンを摂餌しているので、ワレカラが元気にお辞儀しているように摂餌行為をしていれば水流は充分です。また水槽内の隅には枯れた海藻が溜まりますが微生物にとっては大切な餌となります。あまり気にせず放置します、但し分解には酸素を消費するので酸素不足には注意します。
    光量は・・・
    2OW程度の場合、紅藻やフジツボ、イガイをライフロックに被せる程度であれば光量不足とはなりません。緑藻などが葉先から溶出して枯れだすようだと光量不足を考える必要がありますが、なるべく海藻などが影にならないような配置をすれば問題ありません。
    生体バランスについて
    どうしても、プランクトンを含む採取物は入れ過ぎの傾向になりますが、下の写真程度のレイアウトであれば問題ないと思います。

  

タイドプールを再現.1
45cm水槽  水量37L 底面フィルター×2基 底砂7cmでのレイアウトです。緑藻、紅藻、イガイ、フジツボ等多生物叢をライブロックに活着させて作りました。
一部底砂が盛り上がっているのは、採取物に混じってテッポウエビが入り込んで巣穴を掘り出したためです。初めは気が付きませんでしたが大きくなり水槽のアイドルです。

「水槽内のワレカラ」
ストラクチャー周りで海藻採取すると必ず入ってきます。
この様にお辞儀をするように活発に摂餌しています。これらのプランクトンが活発に動いている水槽は調子が良い証拠となります。

水槽管理とメンテ

  • 海藻導多生物叢入、管理とメンテ(自家採取海藻等は原則キュアリングしません)

    ①「小型水槽の組み立て」にも記載しましたが、バクテリア~プランクトン~ベントス~エビ、カニなどの多様な生物叢の「生物ろ過」「微生物ループ」により水槽内の水質浄化が図られています。
    下に、今回採取した、プランクトン、ベントスの顕微鏡動画を入れました。・・・参照しください。
    ※ これらプランクトン達が水槽内の浄化システムを支える大きな土台となっています。これらが活発に活動できる環境を整えるのが水槽の管理、メンテの要諦です。

    ②この仕組みを理解すれば、水槽の管理、メンテはそれほど難しくはありません。
    先ず、水槽内を観察してください・・・
    フジツボの蔓脚(エラの様に見えるがプランクトンを濾しとっているもの)が良く動いている、ワレカラがお辞儀しているように頻繁に摂餌している、イガイが殻を開き有機物を濾しとっている・・・これらの摂餌行為が見られ水槽の水がキラキラと煌めいている事が水槽としての標準状態です。

    ※ この標準状態に変化が現れた時が水槽からのシグナルです。

    ③原因の特定と除去
    1.水槽内で具体的に生体などのダメージが確認できた場合
    海藻が枯れだした、イガイやフジツボが死んで腐敗しだした・・・等は水槽内で良く見かけるケースとなります。
    この場合は、3つの事をします。 一つ目は腐敗したものや枯れだした海藻は除去する。 2つ目は、ダメージを受けた海水を換水する ⇒ ダメージにもよりますが、1/~全換水ほど実施します。この時の海水は出来れば自家採取海水が良いと思います(ダメージからの復帰が早まります) 3つ目は、その原因の除去です。海藻であれば、光量が不足していたのか? 活着できずに枯れだしたのか? イガイ等は水流が不足していたのか? そもそも強い生体ですので水質悪化を見過ごしてしまったのか?⇒ これらを考慮して水替えをした後に対策を講じて下さい。
    2.プランクトンは活動しているものの元気が無く、透明度はあるものの、今一つキラキラと水が煌めいていない。
    この場合は、部分換水が良いでしょう。 1/3~1/2程度の換水を実施します(人工海水でも良いですが出来れば自家採取海水)
    注意すべきは、全体のバランスが良くない時もこのようになります。(海藻過多、魚類が混入しプランクトン摂餌が多い、プランクトンに比べてベントス類が少ない) この場合はケースによりますが、再度採取物の入れ替えが良いと思います、この時にベントス類を追加するのが効果的です。

沖合のストラクチャー周りのプラントクン顕微鏡動画(元気なワレカラが海藻の下にひそんでいる)⇒



ストラクチャー周りの採取物は種類も豊富(フジツボや海藻の根元にはワームが棲息している)⇒

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