夏季こそ、自家採取で乗り切ろう(タイドプールを支える豊かな生物叢)

小型海水水槽
ヒダミノウミウシの一種か?太陽光では蛍光青色の大変綺麗な個体で水槽でも元気です。この様な個体も手に入るので自家採取は楽しい。

夏季自家採取の注意点とベントスクラウドを用いた小型水槽の管理について解説します。

夏季、自家採取のすすめ(タイドプール再現は豊富な生物叢で支える)

  • 夏季は水温も高く、海水水槽分けても45cm↓の小型水槽では水温上昇に伴って水質変動が激しく・・・気を付けないと水槽全体がダウンしやすい時期となります・・・
     下の写真は私の45cm(EHEIM 2213+3541)水温29℃ですが透明度も良くキラキラとしています。

     セット方法は過去のブログを参照してください ⇒ 小型水槽に最適なシステム、メンテについて 

マメスナの調子も良く、傍にはミノウミウシらしき幼体が元気に動き回っていました。
  • 小型水槽の夏季対策は・・・非常に単純で、より自然に近づけて「生物サイクル」「微生物ループ」が良く回る様にする事です。 これには、豊富な生物叢(ベントス、プランクトン、ネクトン)を水槽に導入して水槽全体に「微生物-原生動物-エビ、カニ等の最終捕食者」のサイクルを確立する事に尽きます。
    私の場合は、これらの元として自家採取の海藻(紅藻が主体)、天然海水とそれらで畜養したライブサンド、サイブロックにより構築しています。

     自家採取を含めた基礎知識は、過去のブログを参照してください。⇒ 小型水槽を支える3つの土台

  • 夏季に効果的なものとしては・・・私は、ベントスクラウドを水槽に導入しています。ベントスクラウドは、様々な生物種の固まり=の事で海藻、砂泥の隙間に貝類、多毛類、端脚、微生物が集合して群集を形成しているもので生物種が豊富であり「生物サイクル」「微生物ループ」の形成には効果的と言えるでしょう。
    夏季に限っては、こられを水槽に積極的に導入しています。やや有機物過剰とはなりますが水温が高い時期には微生物の世代交代を強化して対処する方が賢明と考えています。どうしても偏在した生物層は水質変動に脆弱であり水槽ダウンのインターバルが短い気がします。かえって生物叢(生物種の豊富さ)を厚め、量も多くして対応すると高水温には効果的となります。 但し捕食者(魚類、大型のエビ、カニ、フジツボ等)を多くしてはいけません。

    あくまでも、水槽内、生物ピラミッドの底辺を厚くするという事です。
  • 海藻を採取するだけで、それらに付着、棲息しているヨコエビ、ワーム、ワレカラ等のベントス、プランクトンが自然と入手されます。 下の写真は採取した海藻を振ったものと、それらに含まれていたプランクトンの顕微鏡写真となります。

    参照文献
    プランクトン図鑑   岩国市立ミクロ生物館 監修  共立出版
    海岸動物の生態学入門 日本ベントス学会編      海文堂
  • 今回の採取場は三崎の磯場なので、沖合のストラクチャーとは異なりワレカラ類は少なくヨコエビ、ワーム類が多かったように思います。前回7月では見られたカイアシ類は少なくなっていました。海藻の種類も褐藻類は減り、紅藻が多く見られました。自家採取はシーズナルパターンがありますので、海藻に限れば5~6月に芽吹き始め緑藻、褐藻、紅藻等種類も多く最適なシーズンとなります。11月以降は枯れ始めます。プランクトンでは6月~8月が採取には適していると思います。

夏季・・・自家採取の要点

  • 下の写真は・・・8月初旬に三浦半島 三崎の磯場で海藻、天然海水とベントスクラウドを採取したものです。
    前回、7月の採取よりは海藻の種類も少なく褐藻類はウミウチワ、浮ホンダワラを見かける程度でした。緑藻類は、ほとんど見かけません。大分、海の様子も変わりました。
  • 夏季、自家採取・・・必須アイテム
    この時期は、気温、水温共に高いので、採取時には「エアーポンプ」と「エビクーラー」等のエアレーションして持ち帰れるバッカン等を用意する必要があります。(これらは、釣り用品を転用するのがベストです)
    エアーポンプについて・・・ ダイワエアーアルファDを2基使用しています。
    エビクーラーについて・・・ 活かしエビ15Lを使用しています。
    魚活かしバッカン(エアレーション出来るもの)・・・プロマリン活かしバケツ36cmを使用しています。
    ※ 海藻等を採取すると、それに付着してプランクトンや稚カニ等相当量の生物層が居ますので必要酸素量も多くなります。
    ※ 氷、冷却版等⇒ エアレーションしていても夏季、日差しの強い場合は、どうしても水温が上がります、せっかく採取したものが、長時間30℃↑↑となるとほぼ全滅します。死滅数が少なくても天然海水が汚染されて水槽に導入出来なくなります。
    今回8月の採取時は途中で氷をバッカンに当てて冷やしました。⇒ バッカンは40L程度ありますが、それでも水温上昇は避けれませんでした。
  • 自家採取・・・豊富な生物種の魅力
    下の写真は、今回採取した海藻(ツノムカデとイギス等紅藻)と岩礁帯の紅藻に生息していたヒダミノウミウシ、イロウミウシ類です。コノハミドリガイの隠蔽種らしきものも見れます。

    参照文献・・・
    ウミウシの生態図鑑 西田和記著 誠文堂心光社

    これら豊富な生物種が手に入るのが自家採取の良い所であり、1日磯で楽しむ事が出来ます。

改めて「生物ろ過」「豊富な生物叢」の大切さを知る

  • 下の写真は、自家採取したベントスクラウド、海藻等を水槽に導入した直後に見られた生体です。水質もキラキラと輝いており29℃の夏季水槽にしては調子が良いと思われます。
    夏季は底辺の生物層(ベントス、プランクトン、ネクトン)を豊富にして生物ろ過をより強化した水槽組み立てを図っています。
    これらの豊富な生物叢に支えられて水槽の浄化システムが成り立っている事を改めて痛感しています。水質変動が激しい夏季こそ、「基本」に立ち返って「生物サイクル」「微生物ループ」を水槽内で如何に廻していくか?を考え生物ろ過強化を図る事が大切です。

    ※ 小型水槽の組み立てや考え方は過去のブログを参考にしてください⇒
         小型水槽の組み立て方
         生物ろ過について
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