小型水槽でタイドプールを再現するには、自家採取の海藻、ベントスクラウドに代表される豊富な生物叢を利用して水槽内の浄化細菌を訓養(くんじょう)する事が重要となります。今回は厳冬期~早春の採取と水槽導入事例を紹介します。
厳寒期~早春の採取は・・・沖合ストラクチャーが中心
- 厳冬期~早春にかけて「自家採取水槽」にとっては・・・厳しい時期となります。前回の投稿でも述べたように12月から磯周りの海藻はほぼ無くなります。せいぜいカニノテ程度が散見されるだけで生物感はありません。ヨコエビ等プランクトン類を採取する事も難しくなります。
- また、この時期は夏季~秋季にかけて豊富なプランクトンに支えられて訓養(くんじょう)してきた水槽内の浄化細菌を定着させる時期となります。
- しかしながら、2月を過ぎた頃から沖合のストラクチャー周りに褐藻類⇒緑藻類⇒紅藻類が僅かながら胞子が活着して繁殖し出します。併せてフジツボ、イガイ等のベントス類も棲息してきます。最盛期の春~盛夏に比べるべくもない量となりますが自家採取は可能です。
- 厳冬期の自家採取ターゲットは・・・実質、天然海水と沖合ストラクチャー周りからの採取に限られます。また厳冬期(12月~2月)は三浦半島周りでも水温は沖合で13℃程度まで低下しますので、入磯での採取は相当厳しく大潮、干潮がこの時期は深夜となり控えた方が賢明です。
- 沖合のストラクチャー周りでも・・・厳冬期は2月中旬以降にロープやフロート周りに漸く褐藻類が少量ながら繁殖しだすので、2月下旬以降から自家採取出来ると考えて下さい。
- 磯からの採取は春以降にトライするのが賢明でしょう。
※ 採取関係の注意事項やその意義については・・・以下の過去ブログを参照して下さい。
⇒ 「小型水槽の組み立て(基礎知識~メンテまで) ~自家採取の基礎知識 活性汚泥処理等
⇒ 「小型水槽で大切な3要素(タイドプールまであと一歩) ~自家採取の注意点、共同漁業権の解説
⇒ 「小型水槽の立ち上げは初夏がベスト」 ~ 具体的な採取方法 必要なアイテム等 - 以下に、今回 2月に三浦半島で採取した海藻類、フジツボ、イガイ等ベントス類の水槽への導入について解説します。




- 厳冬期の小型水槽について・・・
この時期の水槽は盛夏~秋口に採取した豊富な生物叢(海藻類、ベントスクラウドからのプランクトン類)により水槽内の水質は良くなりますが・・・当然、デトリタスの蓄積も多く換水や底砂の部分洗浄等部分リセットも必要となります。これらを経て水槽内の浄化細菌もリフレッシュされます。さらに重要な事は、ろ過細菌の訓養(くんじょう)です。
訓養とは活性汚泥処理をする工程に用いられる用語で主にろ過細菌に耐性をつける工程です・・・この場合は低温耐性等厳冬期に向けた最適ろ過菌を育てる工程となります。(タイドプール再現ですので無加温を前提としています)
特別な工程は必要なく ①天然海水の定期換水 ②今回のように冬季でも海藻類を含む生物叢を水槽内に導入する
・・・これらを必ず実施する事です。 この時期の自家採取生物叢(天然海水を含む)を極力水槽内に導入する⇒ 14~15℃の海水で繁殖している生物群の導入こそが大切です。
2月に採取した生物叢の導入を以下に解説します。この時期は沖合のストラクャーに僅かでは有りますが・・・褐藻、緑藻 フジツボ、イガイ等ベントス類やヨコエビ等が棲息しています。これらのプランクトン類が棲息する生物叢を導入しました。
詳細は・・・関連した過去ブログも参照して下さい。
⇒ 「自家採取水槽のシーズナルパターンについて(タイドプール再現に向けての土台作り)」







自家採取のおさらい・・・シーズナルパターンについて
- 自家採取について・・・採取場所は主に磯周りと沖合のストラクチャーに大別されます。採取し易さから言えば磯周りが有利ですがどうしても海水温に左右される上に沖合に比べて海藻の活着は遅く4月中旬から5月にかけて褐藻類から発生し緑藻、紅藻類と次第に繁茂して行きます。
時期から見ると・・・厳冬期は沖合のストラクチチャーを中心に採取 春~盛夏にかけては 磯周りをメインに採取。
特にウミウシ類やコシマガリモエビ等甲殻類も含めて生物叢も豊富で採取もし易いベストタイムとなります。また、大潮、干潮時の時間帯も日中が多くなります。この時期は初期は褐藻⇒緑藻 盛期は紅藻を採取すると良いでしょう。コシマガリモエビ等は6~7月程度で取れなくなったりウミウシも種類で時期が決まりますので注意する必要があります。
厳冬期は生物叢も少なくほぼ沖合ストラクチャー周りと天然海水のみとなります。 - 春~初夏~盛夏(3月下旬~9月)
褐藻、緑藻、紅藻等藻類も多く、ベントス、プランクトン類が豊富で自家採取にはベストシーズンとなります。 - 初秋~初冬(10月~12月初旬)
丁度厳冬期に向けた端境期ですので沖合、磯共にバランス良く採取に行くと良いでしょう。 - 厳冬期(12中旬~3月初旬)
ほぼ、換水用の天然海水採取がメインとなります。2月下旬以降に漸く沖合いストラクチャーで藻類が採取できます。
※ 関連した過去ブログは以下の通りです。参照して下さい。
⇒ 海藻主体の小型水槽の楽しみ方(SEA-BONSAI)
⇒ 盛夏こそ小型水槽にタイドプールを作れ(SEA-BONSAI2)

















